
「公園と犬と男の子」
作 どらぽん
どこかに犬がいました。飼い犬でした。
飼い犬なのは昔で、今はのらかもしれません。ですから、いつもお腹を空かせていました。
お腹が空いてぺこぺこのお腹を持てあますように、あたりをうろうろとあるいていました。
そこで、男の子がお菓子をもっていましたので、犬は自分も食べたいようと、男の子に歩みよりました。
男の子は、しげしげと、犬を見ていましたが、やがて泣き出しました。
すると、男の子の母親が、走ってきて、
「汚い犬め! 」
と、いって、犬を公園から追い出しました。
犬は、いつものいばしょを失ってしまいました。
男の子は、犬をバカにしてながめていました。
犬は、悲しくてどこかへ行きました。
公園は思いました。
(犬はかわいそうだ)
そう思いましたが、それだけです。
いつか、月日が流れていきました。
公園は公園であり続けました。
男の子も、大人へと成長しました。
女の人を連れて、公園へやってきました。
「いあー、なつかしいな」
「来たことあるの? 」
女の人が聞くと、
「うん、こどものころにね」
と、だけ答えました。なつかしいのにその裏腹に、なぜだか、罪の意識に心が揺れるのです。
犬のことは、けろりと忘れていますが、罪の意識が隠れてひそんでいるのです。
ですから、
「もういこうか」
と、すぐに、公園から出ていきました。
女の人は、もう少しいたいみたいでしたが‥‥。
公園は思いました。
(おやおや、もう帰るのかな)
公園は穏やかに思いました。
それから、さらに月日が経ちました。
公園には、朝も昼も夜も人が流れていきました。
「あれええ? 今夜の月はキレイだぞ?? 」
ヨッパライの中年オヤジが、そういって、公園で千鳥足で歩いていましたとさ。
おしまい
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