[公園での出来事]
作 どらぽん

公園に、風船売りの女の人がいて、一人で
寂しそうでした。
まだ、子どもが辺りにいないし、子連れの人も
いないので、風船が売れないんでしょう。
よく見れば、風船を売っているのではなく、
風船は、何かの景品みたいですね。
「誰か、いらっしゃいませんか?
本日発売の、体にやさしくできている。新素材
のおもちゃです。よろしければ見ていってください」
「だれか、いらっしゃいませんか? じゃないだろ! 」
「ごめんなさい」
女の人が、男の人に怒られて、泣きそうな顔をして、
本当に、泣いてしまいました。
男の人は、バカ! といって、プイと、
どこかへ行ってしまいました。
女の人が、一人残されて、一人でいたのは、そういった、
いきさつだからです。
一人きりで、ぽつんといて、誰もいない公園。
女の人が、また泣きそうになっていると、子ども連れの
人たちが、わらわらやってきて、おもちゃを見ていました。
女の人は、今度はうれしそうに、おもちゃを作って、合体
したり、分解したりして、いろんな遊び方を実演して見せて、
いかに、おもちゃで遊ぶと楽しいかを見せつけていました。
おもちゃは、女の人の遊ぶ光景が好感したのか、たちまちに
売れていき、同時に風船もまたたくまになくなりました。
女の人は、うれしそうでした。
男の人が、さぼりから帰ってくると、風船がなくなっていて、
売り物のおもちゃが完売されていると気づいて、青くなりました。
売り切れていると、そのことは驚きでしかなく、
「なあ、さぼってたのナイショな! 」
とか、いうので、女の人は、なんとなく、あくどく見せたくて、
「だまっていてもいいけどねえ? どうしようかな? 」
ふん! と鼻を鳴らして、女の人は続けて、
「バカ! って言われたの、本当にムカつくのよね」
「ごめんよ、ごめんよお」
男の人は、ひたすらあやまり、
女の人が、上になりました。
女の人は男の人に、勝ちほこってほくほくで、
顔はさっきまで泣いていた子が笑っているようで、
こちらまで、やったね! とガッツポーズしたくなるほど、
うれしくなってしまいましたね!
おしまい
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