絵本

「誰が一番えらいか? 」

<1>

ある日のことです。

神さまが、誰が一番えらいか?

を決めることにしました。

もちろん、一番えらいのは神さまでしょうが、

どうぶつのなかで一番えらいのを決めるのです。

それで、神さまはいいました。

「じぶんでえらいと思っているのなら、

じぶんでえらいといいなさい」

と、いいました。

<2>

まず、ライオンがいいました。

「オレが、一番えらい」

次に、トラがいいました。

「オレが、一番えらい」

次に、ゴリラがいいました。

「オレが、一番えらい」

 みんな、散々な目にあいました。

 三人とも力が強いだけで、頭を使うことがなく、

強くても、えらくはないと、一番ではない。みんなが、

いうのです。

 神さまは、それをきいていました。

 三人とも、がっかりしていました。

<3>

 次に、

 キツネがいいました。

「オレが、一番えらい」

 サルがいいました。

「オレが、一番えらい」

 キジがいいました。

「オレが、一番えらい」

 どうぶつたちは、いいあいました。

 こんどのは、頭はいいけど、

 力がないね、強くもない、

 やっぱり、一番でないし、一番えらくもないね。

 それらを、神さまもきいて、

 ちいさくとうなづくと、

 三人とも、かなしげな顔になりました。

<4>

 それで、さんざん悩んだ末、

 ゾウがいいました。

「オレが、一番えらい」

 牛がいいました。

「オレが、一番えらい」

 キリンがいいました。

「わたしが、一番えらい」

 みんなで、話し合って、

 誰が一番えらいのだろうと、

 頭をかかえました。

 そして、答えは、三人とも強くないし、

頭も良くないし、なにがいいのか?

 キリンは女性なだけで、あとあるとしたら、

ひとがよさげ、であるだけだ。

 神さまはそれをきいて、うんと、うなづくと、

 三人とも、情けなさそうに肩をおとしたということです。

<5>

 最後に、神さまはいいました。

「みんなで、えらいと思う。一番えらいと思うことは、いいことだ」

 そういうと、つづけて、

「みんなで助け合い、みんなで、全員が一番えらいとおもえたら、

それが一番えらい」

と、いうと、

どうぶつたちは???となりましたが、

「結局、

神さまが、一番えらいんだろう? 」

と、人間のこどもがいうと、

 神さまは、

 恥ずかしそうに、コクンと、

うなづいたということです。

                             おしまい

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